飛鳥聖羅「エロイカ」

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  • #319

    飛鳥聖羅
    参加者

    飛鳥聖羅の詩のページです。
    「エロイカ」は英雄の意味です。
    それは、ベートーヴェンおよび彼の曲のイメージです。
    それらを彷彿とさせる詩篇を書いている。

    • This topic was modified 5 年 4 ヶ月前 by  mariko sumikura. Reason: トピックス変更
    #320

    飛鳥聖羅
    参加者

    岸辺の音楽祭

            飛鳥聖羅

    ラベンダーガールと名づけられた
    八重咲きニオイスミレの咲く岸辺
    流れる曲はショパンのノクターンと
    モーツァルトのピアノ協奏曲
    友人夫妻の奏でるヴァイオリンと
    ピアノの音色が
    川の色を青紫に変えていく
    六階の窓から見える神戸の町が
    晴れた空の下で美しい絵に変わる

    退屈した少女がぐずついて
    親を困らせているが
    曲はしずかに迸り流れつづけて
    ヴァイオリニストの身が
    軽やかに踊る鹿のように
    明るく弾みうねっていく
    ピアニストの
    翅のように柔らかい指が
    鍵盤でせせらぎ
    さざなみ揺れる岸辺の昼下がり
    遥か異国の天才が奏でた
    こがね色の景観が現出する
    革命の戦いのきらびやかさで

    おとなたちは
    原生林のなかに往き暮れて
    相対する混沌の沈黙から
    湧きあがる泉
    瀬となって流れ始める
    水面に耳をそばたてる
    闇の淵に座したまま
    そっと涙がしたたるように
    苔むした岩間を縫うせせらぎ走る
    なにものかよ
    僕は遠いふるさとの
    奥入瀬の流れを胸に思い描いている

    水と曲は障害物を洗い
    ダイヤモンドダストをまき散らし
    青い氷河が崩れ落ちるように
    自由な道をつくりながら
    大いなる滝を駆けくだる
    怖れず撓まず朗らかに
    調和の沃野を通り抜け
    メロディーとリズムの川は
    なにものかの海にそそぐ
    海は落日の舞台で
    聴き入るものを
    高なる渦潮の平安に導いていく

    天空の海にながれる
    悠久の時間を垣間見る人は
    繰り広げられる光と音の饗宴に
    しずかにつよく魂を圧倒されて
    言葉を失い
    ただ言葉の糸を紡ぎだす車だけが
    吹き寄せる風に
    カラカラ鳴るのを聴くしかない
    都会のなかで失われた
    輝かしいものをとりもどすために
    星が天空の海で
    横笛を吹き鳴らすとき

    ルージュメイアンの赤
    マルセイユフォーエバーの赤
    ルージュ色の薔薇たちの宴
    ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールの
    真紅の薔薇と
    ツルミミエデンの
    ピンクと白の薔薇が
    背後の庭園を染める季節には
    まだ早いが 薔薇狂いには
    ビエンナフォーエバーの黄色い薔薇と
    ブルーローズの青が
    魂を染めにくる時刻だ

    曲を聴いている僕の頭の荒野を
    オルフェウスの物語が
    白馬のように駆け巡った
    トラキア王オイアグロスを父に
    音楽の女神ムーサのひとりの
    カリオペを母に
    オルフェウスは生まれた
    アポロンは
    楽才ゆたかなオルフェウスに
    竪琴を与えた
    この竪琴は
    ヘルメスが亀の甲羅に
    七本の糸を張って作ったものだった

    やがてオルフェウスは
    ギリシアで最も優れた吟遊詩人となり
    竪琴の名手となった
    ひとたび竪琴を鳴らすと
    動物たちは聞き惚れ
    嵐や津波も鎮まるという音色を奏でた
    銀河の下で鳴り響くその曲は
    平安をもたらし
    海原には虹が架かり
    イルカたちも
    歓びに身を震わせるように舞い踊った

    オルフェウスは
    イアソンが率いる
    アルゴ船の探検隊にも加わり
    船の行く手を阻む嵐を
    竪琴の音色で鎮め
    ある時はシチリア島の舟人たちを惑わす
    美しい声のセイレーンどもの
    魔力を打ち破った
    彼の奏でる竪琴が威力を発揮した
    オルフェウスには
    愛し合うエウリディケという
    美しい恋人がいた

    しかしエウリディケは
    ある日恐ろしい毒蛇に噛まれて
    死んでしまったのだった
    オルフェウスは悲しみ
    そして恋人を取り戻しに
    冥界へ行くことを決心した
    三途の川の渡し守カローンという老人は
    三途の川の渡し賃として
    死者から一オボロスの銅銭を受け取って
    冥界に渡していた
    それが彼の役目だった

    銅銭を持っていない死者は
    河を渡してもらえず
    哀れなことに
    ずっとこの世と冥界の間を
    さまよっていなくてはならないのだ
    時々その死者が
    この世に
    出てきてしまうこともあるのだった
    オルフェウスは
    カローンに会いに行き
    冥界へ渡してくれるように頼んだ

    カローンは
    生きている者は渡せない
    と言って撥ね付け舟に乗せなかった
    そこでオルフェウスは
    いつものように
    おもむろに竪琴を弾き始めた
    カローンは竪琴の音色の虜となって
    聴き入ってしまい
    蕩けるような目つきになった
    渡し守の仕事をほったらかして
    ぼんやりしていた
    あまりのその音色の美しさに

    オルフェウスは
    その間に空いている舟を見つけて
    自分で漕いで冥界に渡った
    恐ろしい地獄の番犬ケルベロスを
    竪琴を奏でて
    虜にしておとなしくさせたり
    次々と冥界の関門を
    美しい音色を響かせて
    通り抜けていった
    この世で初めて
    親族殺しをしたイクシオーンは
    赤々と燃える火炎車に
    くくり付けられていた

    彼は未来永劫
    引きずり回わされていたが
    オルフェウスの竪琴の音が聞こえると
    ふしぎなことに
    火炎車は炎を消して止まった
    神々の秘密を漏らしたタンタロスは
    あごまで地獄の水に
    浸けられる刑を受けていた
    その水を飲もうすると
    水は引いてしまい
    彼は渇きに
    永遠に苦しみ続けていたのだった

    オルフェウスの竪琴の
    音を聴いたタンタロスは
    のどの渇きを忘れてしまった
    シーシュポスは
    神々に刑罰を与えられ
    山の頂上まで休みなく
    岩石をころがして運んでいた
    山頂まで達すると
    その岩石は重さで
    いつも転がり落ちてしまうのだった
    オルフェウスが竪琴を奏でると
    この岩石は
    転がり落ちるのを止めてしまった

    そしてついに
    死の神冥王
    ハーデスのもとにたどりつき
    オルフェウスはうやうやしく
    エウリディケを地上に返して欲しい
    と願い出た そしてオルフェウスは
    手に持った竪琴を奏ではじめると
    ハーデスの恐ろしい側近たちも
    竪琴に聴き惚れて
    冥王ハーデスに
    エウリディケを返してあげたらどうか
    と進言したのだった

    そしてハーデスも
    その美しい竪琴の音色の虜となり
    条件付きで
    エウリディケを
    地上に連れて戻ることを許した
    その条件とは
    オルフェウスが地上にたどり着くまでは
    決して振り向いてはいけないことだった
    喜んだオルフェウスは
    恋人エウリディケとともに
    地上を目指して引き揚げた

    帰る途中
    オルフェウスは
    後があまりにも静かで
    エウリディケがいるのか不安になり
    思わず後ろを振り向いてしまった
    するとエウリディケは
    冥界に引き戻されてしまった
    悲しんだオルフェウスは
    竪琴を持って眠らず食わずのすがたで
    川岸や野山をさ迷い歩き
    恋人エウリディケを想い
    竪琴を奏でつづけた

    ある時
    オルフェウスが竪琴を奏でていると
    酒の神デュオニソスの祭りで
    酒を飲んでいたニンフたちが
    オルフェウスの気を引こうとした
    しかしまったく自分たちの美しさに
    興味を示さないオルフェウスに
    逆恨みして
    彼を殺してしまった
    そして手足を引き裂き
    頭と竪琴を
    ヘブロス川に投げ込んでしまった

    ムーサの記憶の女神たちは
    バラバラにされた
    オルフェウスの体を集めて
    レイベトラに葬った
    ゼウスは
    オルフェウスの竪琴を拾って
    天に上げて星座にした
    誰もが知る星座にした
    オルフェウスの持っていた竪琴は
    夏の星座 琴座になった
    宇宙に広がる星座の中で
    オルフェウスの竪琴だけが
    いまも不思議な響きを奏で
    僕の耳と心を潤し
    癒し続けているのだ

    ヴァイオリンとピアノの
    発光した音色が響き
    幻想を帯びた港街の景色を
    ウィーンの都に
    変貌させていく夕刻の
    泉の湧く広間
    歓びの流れに足を浸し
    ぼくはあなたの襟足と
    胸元と微笑む頰と唇に
    夢の中で千回キスをして
    遠い銀河のほとりを航海する舟人たちを
    我が光と音と
    言葉の饗宴の席に呼び集めていた
    時を告げる鐘を打ち鳴らして

    #325

    mariko sumikura
    キーマスター

    ギリシャ神話をモチフとした詩で、オキシデンタルな愛を謳っておられますけれど、奥入瀬川の風景が挿入されたり、神戸港町をイメージされたり、詩人のイマジネーションの宇宙なんですね。そして愛する「あなた」に捧げた詩の情熱を感じました。

    #354

    飛鳥聖羅
    参加者

    美しき実存の歌
           飛鳥聖羅

    ぼくは肉体の主戦場で
    嫉妬に狂った者や悪逆非道の者や
    裏切り者たちには
    追撃の手を緩めない 断固として
    鳥かごから解き放った鳥が
    よろこびさえずり
    空に舞いゆくのを見る
    うららかな日でさえも

    ぼくは舟の甲板に立って
    ワインを飲み干しながら
    天空に躍り出た月が光の静寂と
    こがね色の矢を射るのを見る
    そしてぼくの肉体の舟が
    微風をうけ航跡を残しながら
    きみを乗せて銀河の海を
    航海するのをよろこんでいる

    ***

    ぼくは帆に風をはらみ
    波涛と格闘しながら
    きみに流星群が降りそそぐのを
    愉快に見ている
    松と桜の生えた岸辺を
    少年が口笛を吹きながら
    洒落た赤い自転車に乗って
    走り去るのを遠くから見ている

    ぼくは肉体の地下水脈まで
    届く井戸を掘り
    必要なとき見えないポンプで
    智慧の水を汲む
    ぼくの肉体の食卓で
    家族がそろってはしゃぎながら
    ぼくの五臓六腑を
    少しずつ食べるのを黙って見ている

    ***

    ぼくは砂漠をゆくキャラバンのきみが
    旅の荷を解き
    緑のオアシスで安らかに憩うのを
    信じていたりする
    そしてぼくは二股に別れた木の枝に
    眠っている一匹の豹が
    漆黒の闇の中で
    目覚めて立ち上がるのを見る

    ぼくはきみの手から
    解き放った白鳩を見ながら
    きみがぼくの胸に
    頬をすり寄せてくるのをだきとめる
    ぼくの肉体の泉に口づけて
    きみがやさしく飲み干す
    時間のなかの永遠の一瞬を待っている
    瞑目しながら

    ***

    ぼくたちは黄落の季節に
    紅葉狩りにでかけ
    雪見の宿でふたりして
    死ぬほど愛し合う時間に溶け込む
    太陽があかつきの闇をついて
    きみのやわらかな
    果実のからだに火を灯すのを
    ぼくはじっと見ている

    ぼくは舟の船長になって
    何も怖れることなく
    きみの懊悩の波涛を受ける
    港にむけて果敢に舵を取る
    太陽の舟がイルカや
    鯨の歌がおりなす海原を
    人魚にみちびかれて
    あやまたず航海する舵取りだ

    ***

    ぼくの肉体の盾や鉾が
    きみの身を護るために
    闇が深ければ深いほど
    金色に輝いていたりすることがある
    砂時計の金の砂が
    永劫の夢の岬を越えて
    希望の音色を響かせ
    通過するのを目撃する

    果樹園に青いすぐりの実や
    グミの実を見つけては
    林檎や葡萄の実が祝祭のように
    きみを飾るのを見る
    そしてぼくは田園に
    ゆたかにひろがる収穫祭を
    あまさず情熱のきみのからだに
    点火していくのだ

    ***

    肉体の叢林に
    巣をかけた鳥たちの愛の営みを
    こころゆくまで見守っているのは
    ぼくの楽しみだ
    木々のこずえで愛の巣作りにはげむ
    白鷺のとろける歌声を
    遠い異国の古い歌のように
    聞いていたりする 独りたたずみ

    あるときは
    みずうみに飛んできた白鳥の群れが
    朝もやの煙る中で
    翼を大きく広げて舞うのを見ている
    深閑とした黄昏の森林のなかで
    トキやコウノトリが
    からだをふるわせ
    愛をむつびあうのを眺めたりする

    ***

    雪原に舞い降りた鶴の求愛の絵図が
    しばれる冬の曇天の雲を
    背景に煌々と光を放っている
    川の岸辺で老船長の弾く
    バイオリンの音色に耳を澄まし
    異国に旅立った
    悲しい女の性を偲んでいたりする

    夏に水辺や林に飛び交う
    何万もの螢が
    きみのやわらかな幹に
    着色版画のように貼り付けば
    愛の魔法をかけられたきみが
    蜂鳥となってぼくの肉体の果実を
    おいしく啄むのを見るのは
    何よりの楽しみだ

    ***

    ぼくが舟に
    栗やイチジクの実をならべると
    名も知らぬ鳥たちが
    嘴を突き刺して食べはじめる
    そして舟に
    ハマグリやアワビやサザエをならべ
    きみが愉楽のうたを
    天に響かすのを聴いている

    港には船団が連れてきた
    きらびやかに着飾った
    見知らぬ異国の
    交響楽団や芸術家たちがいる
    ぼくは異国の船人たちが
    ステップを踏みならし
    饗宴の歌と踊りに興ずるのを見る
    眠れぬ夜などに

    ***

    荒野にまぼろしの
    金鉱を求める旅人がいて
    あきらめもせず
    探し求めているのはどうしてだろう
    ぼくは深海に沈んでいる
    秘められた神殿や宮殿が
    潮にあらわれて
    魚の寝床となっているのを見る

    蒼い海に海の彗星の鯨が群れ成し
    飛沫をあげて
    智慧ある餌取りの
    ドラマを演じたりしている
    そのほかぼくは
    ジャングルや草原に繰り広げられる
    ライオンや縞馬や
    キリンや象どもの驚異を見る

    ***

    ぼくは舟に留められている
    秘密めいた古文書の
    解読に時間を費やして
    それに陶酔することがある
    ぼくはこの舟が
    この世にあるのでもないが
    ないのでもないことの謂れを
    探している自分を知っている

    ぼくは肉体の石室に葬られた
    いにしえの賢者たちの
    ことばの海に舟をうかべ
    独りしずかに瞑想に耽ったりする
    そして肉体の金剛の柱に刻まれた
    いにしえの王者の言葉を
    細胞が遠く記憶したまま
    蘇らせるのを見ていたりするのだ

    #364

    mariko sumikura
    キーマスター

    詩人の思いは、流れるように溢れています。けれど決して読み手に知識を要求していないのがさすが。そこには、読み解ける一切が書かれていますから。

    #375

    飛鳥聖羅
    参加者

    カレードスコープ狂詩曲
              飛鳥聖羅         

       愛の潮騒

    暑い日射しの下で
    溶け始める時計が
    木の枝にぶらさがっている
    円形が歪みいびつに曲がった時計が
    砂地にめり込む
    水に流れる時計を川魚が
    口にくわえて遊んでいる
    夢から覚めて辺りを見ると
    しずかに妻が寝息をたてている

    腕時計をなくしてからだいぶ経つ
    何処で落としたか分らない
    新しい時計を買ってきた
    それを見て思い出す
    妻がプレゼントしてくれた
    時計に良く似ている
    どこかしら
    時計の表情が良く似ている
    朝のベッドでコーヒーを飲む男の顔だ

    こころはことばや形に現われる
    愛も同じだ
    眠りの池から浮く蓮華だ
    形に現われて
    はじめてひとはそれに気がつく
    虹のアーチが架かるから
    なくしてはじめて思い出す
    ひととの愛を
    月見草のような愛を
    なくしてはじめて目が覚める
    自分の愚かさに
    悔やんでも始まらないが

    春になれば
    太陽が大地に命じて
    色とりどりの花々を呼び出す
    道端の草花
    梢でさえずる小鳥
    海にそよめく潮風
    都会の放蕩息子
    谷間を流れる渓流
    高原を彩る白樺の木々
    大地を揺する火山の噴火
    牧場に飼われる家畜の群れ
    密林に戯れる獣にも
    宇宙の息吹が満ちてくる

    近代の寓話に
    遥か遠く時はながれ
    ポストモダンの夜明け前
    枯れしぼむ原生林
    腐乱していく魚の群れ
    絶滅寸前の鳥や樹々
    北海や南氷洋の氷が融け
    氷河が融けはじめ
    天空の皮膜に穴が開く
    それは夢幻の蜃気楼ではない
    愚かにむなしく
    失われた時は取り戻せない

    なくした時計は返らない
    いま職人の顔つきで
    新しい時計のネジを巻く
    食卓の花の向こうに微笑む妻がいる
    学校から帰ってきた子どもたちの
    夕刻のラプソディの渦潮のなかで
    ぼくは弾ける潮騒を懐かしむ
    海原に遊泳する鯨の群れと
    近づく鯨の歌が
    万華鏡の中でよみがえる

       永遠の春

    さあ春だ
    夏が来る前に やっておこう
    愛しいひとに美味しく食べて欲しいから
    料理の学習を
    こころもからだも夢を詰め込むには
    いまが旬だから
    やってやれないことはない
    やらずにできるものはひとつもない

    人生は無限だ
    そう 青い海が叫んでいる
    僕にはそう聞こえるんだ
    この世に無限でないものは一つもない
    有限だと思うのは
    そう あなたの幻想に過ぎない
    ことばも無限
    料理も無限
    学問も無限

    宇宙は無限
    生命は永遠だ
    無限に繰り返される円環上の旅だ
    そう映らないのは
    あなたの幻想に過ぎない
    確かな目を持てば
    すべてのものが変幻自在
    幻灯風景
    永遠につづく
    枯れることもない歓喜の嵐だ

    夏は青々とした
    ビッグウエーブに心が躍る
    血湧き肉が弾ける
    ジェットコースターに乗っている気分だ
    音が生まれ
    旋律が生まれ
    リズムが飛び出す
    人間の中に春が芽吹き
    萌えだすからだ

    あなたの中に
    見たこともない驚異の宮殿が
    その門扉を開け放つ
    その瞬間がやってくる
    風と光の時がいまかと待ち構え
    青と黄と赤の門扉がひらかれる
    かがやかしい夏が来るのを待っている

    からっぽの器に盛られた夢が
    泉となって噴き上がる
    奇跡はそんなに珍しいことでもない
    見える世界の薮に
    言葉の爆弾を仕掛け
    その風穴から永遠を覗く
    それが奇跡にちがいない!

    春の目覚めが奇跡を連れてくる
    春の海に昇る太陽とともに
    美しい虹を渡る
    きらめく戦慄を道連れに!
    旬の材料で料理の腕前を見せてやろう
    誰もが驚愕の眼で
    あなたを見る日がやってくる!

       愛の法則

    アポリアの網に絡めとられても
    ぼくの中に答えが湧いてくる
    アドニス
    イノシシに殺されたかれの血から
    アネモネが咲きでたように
    答えが血の光を帯びて現われる
    アフロディテに愛された美少年は
    繁殖と豊穣の
    ふたつの星を抱いている

    生きていればなにかの拍子に
    時には空回りする時もある
    空回りは虚ろな心から生まれる
    虚ろな心って空っぽで
    すっきりしているようだが
    なんだか物足りない
    こころが空ろって寂しくて孤独だ
    孤独の故に宇宙は引き合うのだ

    心の中に芯となる軸がないと
    独楽のようにはきれいに回れない
    かんたんに傾いてしまう
    こころが空ろだと
    素敵なものが入ってきても
    気がつかないこともある
    だから やっぱり
    心を何かで満たす必要がある

    こころを満たすものが
    優しさや温かさや愛であれば
    世界がきっと微笑みだす
    きっと新しい何かが生まれる
    きっと新しい自分に出会える
    なんだか羽根を付けて
    大空を自由に飛ぶように
    自分を感じるかもしれない
    心をあなたへの思いで満たせば
    きょう一日が温かく思える

    寒い朝も清々しい気分で満たされる
    ふしぎなくらいに
    幸せな波が満ちてきて
    一番高い塔のうえに自分を押し上げてくれる
    世界が美しく見えるのは
    そこにあるがままのあなたがいるから
    あなたに出会えたしあわせは
    だれもこわせない
    自ら腐らない限り

    どんな嵐がきたって
    朝日が昇るまでは負けはしない
    あなたを守る勇気さえあれば
    ぼくはいつだって乗り越えてみせる
    幸せの女神の前髪を掴めば
    しあわせは逃げていかないはずだから
    あなたがいるからぼくがいる
    これがぼくたちの愛の法則だ

    あなたがいるからぼくがいる
    これが永遠に変わらない光の法則だ
    あなたがいるからぼくがいる
    これを忘れない限り
    ぼくたちは永遠に幸せでいられる
    目に見えない力だけが
    ひとを引き寄せ結びあわせ
    永遠に飛翔させるつばさとなるだろう

       美しい行為

    空行く雲のように流れ
    渓流の水のように過ぎ去ったことを
    くよくよ悔やむのはやめにしたい
    過去というものは悔やむのではなく
    反省するもの
    と木の上でカラスが啼く
    夕日の血脈に首を突っ込んで
    カラスが血の叫びをあげ
    羽をばたつかせて飛んで行った

    前向きに反省すれば
    過去からも素晴らしいことを学べる
    過去の幻のような夢芝居の出来事が
    素晴らしい未来を開く舳先となる
    今はまだわからないことも
    海の彼方に夕日のように落ち
    過ぎ去ったすべてのことも
    「よかった」と言えるものになる

    ぼくにもたくさんあった
    失敗もいやになるような挫折も
    二度としたくないような経験も
    それらはみな ぼくの肥料になり
    栄養になり 根っこになり
    ぼくを曲がりなりにも成長させた
    日のあたる場所で
    花が美しく咲いていてもいなくても
    カワセミが飛ぶ庭で

    樹々が
    赤や黄や紫の実をつけていてもいなくても
    そよ吹く風のなかで
    小鹿やコウノトリみたいに
    成長をつづけるあなたにとって
    すべてのことは
    「よかった」と心から叫べるものにちがいない
    いつだって
    永遠がぼくたちに挨拶しにやってくる
    泥沼の蓮華のように

    オアシスって 何処にある?
    どこか遠くにあるものではない
    バラ園って 何処にある?
    あなたの外側にあるものでもない
    噴水って 何処にある?
    あなたの心のなかの広場にあって
    太陽に向かって勢いよくはげしく
    そして美しく噴き上げている

    この世の謎めいたものを
    見つけることができるのは
    ぼくであり あなただ
    この世に どこを捜しても
    傷つかぬ城や心はありはしないのだ!
    太陽はいつだって昇り
    いつだって沈む
    羅針盤が確実に進路を示している
    シーソーの向こう側と
    こちら側に
    太陽がいるか
    ぼくがいるかの違いだけだ

    祈れるのは人間だけ
    動物は祈らない
    ぼくは祈る
    名もなき無冠の詩人として
    まだぼくの知らない
    美しい世界を見るために
    朝も夕べも
    まだ感じたこともない
    魅惑の境地を味わうために
    昼も夜も
    まだやったこともない
    美しい行為をする
    まだ会ったこともない
    美しい人に会うために

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