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2014/05/03 15:09 #309
飛鳥聖羅のページです。
2014/05/03 15:20 #310アンドロメダの生誕
飛鳥聖羅
ピアノの詩人ショパンの
バラードの流れる部屋に
あなたの声と
夜の静寂が溢れる思いを呼び覚ます
草原に湧く美しい泉のように
きょうはアンドロメダの誕生日ね
とキッチンであなたはつぶやく
遠い星からのメッセージが
舞い降りるのを感じて
ぼくは目覚めた耳を澄ませば聞こえてくる
昔の歌 即興詩人の吟唱する声が
裸を薄いベールに包んで
あなたはしずかにベッドに横たわっている
遠い空には不思議な顔をして
いつもあなたを見ている星がある
銀河をゆく舟に乗って
一人の詩人が白い翼を広げているあなたの胸の谷間に顔を埋めて
あなたの遠いふるさとを見ている
そして耳を澄まして聴く
あなたを産んだ母の海の響きを
あなたの胸に点る二つの灯を
見あげてほほえみ
ぼくはあなたの腹の上で
オレンジを食べる 果汁を滴らせあなたの背中で
ぼくはヴァイオリンを弾く
ぼくの指と弦が牡鹿のように踊る
あなたの歓びの歌声を聴きながら
ぼくはイルカになって楽しく聴いている
金の光で縁取られた蠍が
毒針を持つ尻尾を跳ね上げて
海の底から浮かび上がってくる
赤い心臓のアンタレスが
ひときわ輝いて
いのちの海を
荒々しいものにしている牛飼いの牧童が吹き鳴らす
角笛を聴いている乙女の
スピカが笑っている西の星空
天女が天秤の皿に
人々の運命の重さを量っているとき
月の光が水面で砕けて響く
銀河の岸辺で憩う
あなたの美の園に遊び
ぼくは歓び戯れる
孔雀となって歩いている
この世に生まれた幸せは
誰も壊せないと吠える
大熊の遠い呼び声の光が点る光の波をかきわけてすすむ
航海をするときがきた
いま始めよう!
愛は二人を結ぶ黄金の鍵だ
その力は
無限の叡智に満ちあふれている
ふたりで潮風に希望の帆を揚げ
勇気の汽笛を響かせよう
意思のかいなに汗を光らせ
未来の価値を
その瞳に焼きつけようこの世に生まれた幸せは
誰も壊せない
壊させてもならないと
繰り返されるアラベスクの潮騒に
火の鳥が鳴き叫んでいる
ぼくたちは粉々に砕けた
ダイヤを埋め尽くす光の波をかきわけて
船出していこう
アリカンテからワインや
果実を乗せて舟人たちが
雄々しく旅立つように虹の架かった海原に
空からカモメが舞い降りて
そっとささやいた
幸せはアリススプリングズの基地から
エアーズロックの一枚岩を目指す旅だ
愛の心の中に棲む青い鳥の
アリストファネスが歌っている
それはよろこびさえずる鳥のうた
誰も妨げることのできない歌なのだ鳥籠を無限に広げる力を秘めて
生きる歓びは
アンデス山麓の
アルティプラーノ高原に住む人々のように
天に一番近いところにいて
アルタイルの鷲を眺めていたりする歓びだ
何ものにも代えがたい歓びだ
アルカイックスマイルが
ぼくとあなたの口元にさざなみをひろげるエチオピアの王女にして
ペルセウスの妻アンドロメダが
銀河をなして
夜のふたりに
アンダンテカンタービレを奏ではじめる
ペルセウス座の悪魔の星アルゴルが
既に明るさを変えて遠ざかっている
やがて時が来て日は昇り
スコールの後
虹の架かった海原に美しい世界何もないけれど美しい
生きるよろこびだけが世界を変える
生きている歓びだけが
世界を
アルストロメリアの花園に変える
カンタブリア地方にある
アルタミラ洞窟の
ヤギュウの壁画を描いた
古代の人々の心を
狩猟と純潔の女神アルテミスに変え
自由をことほぐのだあなたの背中でぼくが竪琴を弾けば
ベガと翼を広げた鷲の
アルタイルが向き合い
白鳥のデネブの歌声を聴く
月の舟に乗って天の川を
南へとくだれば赤い目玉の蠍が
大きな爪を伸ばし
毒針を持つ尻尾を跳ね上げて
海の底から浮かび上がってくる
火星の敵と謳われた
アンタレスの心臓を輝かせて
蠍がいのちの海を
荒々しいものにする光の蛇がとぐろを巻いている
天座の西では
牛飼いが角笛を吹き鳴らし
東では射手が弓を引き延ばして
獲物に狙いを定めている
夏の海を彩る星座のにぎやかさ
それを見ながら
ぼくはあなたが憩う美の園に遊び
歓び戯れる孔雀となって歩いている
この世に生まれた幸せは誰も壊せない
と吠える大熊の遠い呼び声の光が点る光の波をかきわけてすすむ
航海をするときがきた
いま始めよう!
愛は二人を結ぶ黄金の鍵だ
その力は
幾つもの波涛を超えゆく
叡智の弾力を秘めている
ふたりで潮風に希望の帆を揚げ
勇気の汽笛を響かせよう
意思のかいなに汗を光らせ
未来の価値を
その瞳に焼きつけようこの世に生まれた幸せは誰も壊せない
壊させてもならないと
繰り返されるアラベスクの潮騒に
ぼくのなかの火の鳥が鳴き叫んでいる
ぼくたちは粉々に砕けた鏡を
ちりばめたような光の波を
かきわけて船出していこう
アリカンテからワインや
果実を乗せて舟人たちが
雄々しく旅立つように虹の架かった海原に
空からカモメが舞い降りて
そっとささやいた
幸せはアリススプリングズの基地から
エアーズロックの一枚岩を目指す旅だ
愛の心の中に棲む青い鳥の
アリストファネスが歌っている
それはよろこびさえずる鳥のうた
誰も妨げることのできない歌なのだ2014/05/03 20:20 #315飛鳥さんの詩を読んでいると、紺青の空を突き抜けて星雲の彼方連れてもらえるような気がします。愛は二人を結ぶ黄金の鍵、いい言葉ですね。
2014/05/05 11:38 #361アーモンドフェスタ
飛鳥聖羅神戸市は東灘区の深江浜で
毎年ひらかれるアーモンドフェスタ
バスを連ねて
多くの人々が祭りにやってくる
それぞれの思いをもって
桜の開花に先駆けて咲く
アーモンドの花は
やはり桜に似た淡いピンクの花だ
アーモンドの香ばしい香りが
深江浜界隈に漂い始める春分の日を境に眼を転じて遠くイタリアはシチリア島の
アグリジェントの神殿の谷
ここに多くのアーモンドの木が植えられ
二月に花が開花し
神殿の谷を淡いピンクの色で染めていく
古代ギリシア詩人ピンダロスは
このアグリジェントを
人の造りし最も美しき都市と賞賛した
二千五百年前 地中海を渡ってきた
ギリシア人たちが築いた都市だ地中海の十字路に位置したこの町は
都市として発展し
今に残る壮麗な神殿が複数建造された
これがアグリジェントの起源だ
アーモンドフェスタには
世界各地から多くの人々が
民族衣装と
民族舞踊をもってこの町に集結する
フォルクローレの祭典だ祭りの日にはその衣装を身にまとい
国別に町中をパレードする
その様子を見た日には
地球のモザイクを
見る思いがするにちがいない
この谷間で原型に近い形で残る神殿は
平和を司るコンコルディア神に捧げられた
二千五百年後 その神殿の周りは
アーモンドの花で彩られ
人々の笑顔が溢れるモザイクで思い出すのは
この町の近くにあるパレルモの
モンレアーレのカテドラル
王の山のモンレアーレは
十二世紀にノルマン王によって建てられた
ノルマン王宮と
そのカテドラルの内部にあるのが
見事なモザイク画だ
荘厳なカテドラルに
ノルマン王の
魂の躍動を見るのは幸せなことだドイツの詩人ゲーテも絶賛した神殿の谷
その谷で開かれるアーモンドフェスタ
昔 セラスという国に
可憐で美しい王女がいた
その王女は
ギリシアからやってきたデモフォと会い
たちまち恋に落ちた
デモフォは英雄だ
二人の愛はむつまじく
すべてが順風満帆に見えた穏やかに月日は流れたが
英雄デモフォは故郷に戻る日が来る
愛し合う二人は再会を約束して別れるが
悲しいことにこれが
永遠の別れとなってしまう
間もなくして王女の耳に
デモフォの訃報が届いたからだ
死は避けられないものとはいえ
これほど早くやってくるとは
何という運命だろう
愛のすべてを失った王女は
朝に夕べに夜に悲痛と悲嘆に明け暮れ
頬を流れる涙が止まらない
やがて時が流れ ふしぎなことに
美しい王女が大粒の涙を流した場所に
一本の木が育ち始めたのだった
その木にやがて淡いピンクの花が咲き
たくさんの実がなった水滴に似た形の実だったが
その形状は王女の大粒の涙から生まれた
これがアーモンドの木の由来だ
アグリジェントの神殿の谷には
多数のアーモンドの木が生えており
毎年二月頃には淡いピンクの花を咲かせる
可憐で美しい王女の姿を彷彿とさせる
アーモンドの花の下の饗宴に 釘づけだ古代地中海に発展した航海民族フェニキアは
紀元前十五世紀
ウガリト・ビブロスを中心に繁栄した
紀元前十二世紀には
中心はティルス・シドンに移り
地中海貿易を独占したのだった
その文化とともに
フェニキア文字を西方に伝えていった現存のアルファベットの祖とされる
フェニキア文字を使用した民族も
その本国諸市は
紀元前八世紀
アッシリアによって滅ぼされた
地中海に流れる不死鳥の歌は
幾世紀を隔てても美しく響きわたり
生死を超えて人々の魂を魅了する
多くの詩劇を誕生させていったマケドニア王アレクサンドロスは
フィリッポス二世の子で
アリストテレスを師匠として学んだ
やがて離反ギリシア諸市を制圧し
紀元前三三一年に
ガウガメラの戦いに勝って
ペルシアを征服した
さらに東方に遠征して
インド北部にまで進攻していったのだった各地にアレキサンドリアと命名した
都市を建設し東西文化の交流
ヘレニズムを大きく発展させていった
アレクサンドロス大王の原点は
希望という二文字の種子を
胸に植え付けていたことだった
生命の大地にこそ愛の花が咲き
枯れることのないダイヤの花となる古代インド
マウリヤ朝第三代の王アショーカ王は
紀元前三世紀
最初のインド統一に成功した
武力によらず法に則って天下を治めたい
との布告を刻んだ石柱を各地に建立した
高さ十メートルほどの砂岩製で
柱頭に獅子や牛などの彫像があるアショーカ大王は
愛をもって国を治め世は繁栄していった
地中海に吹く風が
西と東の大地に
アーモンドの花の薫りを運び
とこしえの安らぎを形作る
あなたと二人で
アーモンドの樹の下で
見つめ合い抱き合えば
変わらぬ愛の歓びと
希望の血潮が胸に湧き
冒険の旅路へと
船が帆を揚げて乗り出していく2014/05/06 11:10 #377
毒と薬
飛鳥聖羅世紀末に向かう時代の暁
震動する大地の暗い薮に穴を穿って
そこから覗く宇宙の星屑に
失われた言葉のかけらが絡みつき
深い記憶の淵から見知らぬ鳥が翔びたつ
警鐘を鳴らすものが
するどい光を放ち
仏閣の青い甍の屋根を超えていく天上から射し込む青い光
大地の草木に噴きこぼれた雫となって
深閑とした時代の闇を照らし
一条の希望のノクターンが
畏怖と不安の糸車を廻す人々の
うしろ姿に囁きかける
ひとを愚弄する狂気の魔術師には
騙されるな 確かな眼を開け腐肉を漁る獣が欠けた耳を逆立て
悪知恵に濁った目をして
あたりをうかがう仕種で近づいてくる
一九九〇年の年の瀬
闇にはまだ深い傷跡を
舐め回すように嫋々と吹く
冷酷の風がながれつづけている
マルメロの匂いもなく夜明け前 剃刀の刃こぼれに傷ついた
歪んだポスターが
蒼ざめた僧坊の壁や庇に貼り付いている
何を思ったか魔がさした男が
ビイドロの仮面をつけて虎視眈々と
罪なき人々に嫉妬の嘲りを放ち
純粋な心をひし曲げに来るひと粒の涙にも海を収める力がある
天に浮かぶ月の輝きがある
ひと雫の血にも永遠を孕む優しさがある
天空を駆ける彗星の優しさだ
ゆれる人間のこころの万華鏡にさえ
ありとあらゆる難問を
いとも簡単に解決する
何通りもの美学模様が刻まれているおれの胸に深々と突き刺さった毒矢は
抜かねばならない 即刻
詩想の花びらを萎れさせないため
脈動する滾る想いを
宇宙に通じる海辺の扉を
ひらく力に変えるのだ
おれのやり方で
魔術師の仮面を剥ぎ取り
奴のふざけた振る舞いを揶揄してやる***
蘇った魂の鏡に
青空を映しとる歓喜の時は来るか
劇中劇の幕間に
海から遡り自ら生まれた場所の上流で
産卵する魚の赤いこころで
わが身を問い直そうと
未来を託す子どもたちに
熱いまなざしをそそぎ
だれにも破れない知力を
振り絞って駆け巡る
一人立つ者の息吹で銀河は果てしない夢と希望の坩堝
おれの希望は宇宙の源へ遡及していく
かぎりないエネルギーを生み出し
天をゆく浮き舟となって自由に天翔ける
シェーナーブルネンと名づけられた
美しい泉の湧くところをめざし
おれは我と他者を結び癒す
薬の在処を知ることになるだろう
生の妙薬の在処を吹雪を耐え忍んだ鳥たちが
湖から飛びたち
颯爽とすがすがしく
青光りする螺鈿をしきつめた
天空を飛翔する
朝のこない夜はない
なにげない光景に
永遠につづく苦悩はないことを知る
だれであれ
生命を傷つけるものには
永遠の苦悩が待つ それ以外は山裾の甍の群れを見下ろし
遥かな天空の彼方の見知らぬ寺院に
鳥たちは歓びのあいさつを
おくっているのかもしれない
嬉々として
悠久の青い深淵のうえに
煌めく人間の森のうえに
紫に焼けた雲間から
たぎる黄金を溶かした太陽と
海原が人々を
永劫の潮騒で包み込んでいく -
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