飛鳥聖羅

タグ: 

This topic contains 4件の返信, has 2件の返信, and was last updated by  飛鳥聖羅 5 年 7 ヶ月前.

5件の投稿を表示中 - 1件目から 5件目 (全5件中)
  • 投稿者
    投稿
  • #309

    飛鳥聖羅
    参加者

    飛鳥聖羅のページです。

    #310

    飛鳥聖羅
    参加者

    アンドロメダの生誕

         飛鳥聖羅

    ピアノの詩人ショパンの
    バラードの流れる部屋に
    あなたの声と
    夜の静寂が溢れる思いを呼び覚ます
    草原に湧く美しい泉のように
    きょうはアンドロメダの誕生日ね
    とキッチンであなたはつぶやく
    遠い星からのメッセージが
    舞い降りるのを感じて
    ぼくは目覚めた

    耳を澄ませば聞こえてくる
    昔の歌 即興詩人の吟唱する声が
    裸を薄いベールに包んで
    あなたはしずかにベッドに横たわっている
    遠い空には不思議な顔をして
    いつもあなたを見ている星がある
    銀河をゆく舟に乗って
    一人の詩人が白い翼を広げている

    あなたの胸の谷間に顔を埋めて
    あなたの遠いふるさとを見ている
    そして耳を澄まして聴く
    あなたを産んだ母の海の響きを
    あなたの胸に点る二つの灯を
    見あげてほほえみ
    ぼくはあなたの腹の上で
    オレンジを食べる 果汁を滴らせ

    あなたの背中で
    ぼくはヴァイオリンを弾く
    ぼくの指と弦が牡鹿のように踊る
    あなたの歓びの歌声を聴きながら
    ぼくはイルカになって楽しく聴いている
    金の光で縁取られた蠍が
    毒針を持つ尻尾を跳ね上げて
    海の底から浮かび上がってくる
    赤い心臓のアンタレスが
    ひときわ輝いて
    いのちの海を
    荒々しいものにしている

    牛飼いの牧童が吹き鳴らす
    角笛を聴いている乙女の
    スピカが笑っている西の星空
    天女が天秤の皿に
    人々の運命の重さを量っているとき
    月の光が水面で砕けて響く
    銀河の岸辺で憩う
    あなたの美の園に遊び
    ぼくは歓び戯れる
    孔雀となって歩いている
    この世に生まれた幸せは
    誰も壊せないと吠える
    大熊の遠い呼び声の光が点る

    光の波をかきわけてすすむ
    航海をするときがきた
    いま始めよう!
    愛は二人を結ぶ黄金の鍵だ
    その力は
    無限の叡智に満ちあふれている
    ふたりで潮風に希望の帆を揚げ
    勇気の汽笛を響かせよう
    意思のかいなに汗を光らせ
    未来の価値を
    その瞳に焼きつけよう

    この世に生まれた幸せは
    誰も壊せない
    壊させてもならないと
    繰り返されるアラベスクの潮騒に
    火の鳥が鳴き叫んでいる
    ぼくたちは粉々に砕けた
    ダイヤを埋め尽くす光の波をかきわけて
    船出していこう
    アリカンテからワインや
    果実を乗せて舟人たちが
    雄々しく旅立つように

    虹の架かった海原に
    空からカモメが舞い降りて
    そっとささやいた
    幸せはアリススプリングズの基地から
    エアーズロックの一枚岩を目指す旅だ
    愛の心の中に棲む青い鳥の
    アリストファネスが歌っている
    それはよろこびさえずる鳥のうた
    誰も妨げることのできない歌なのだ

    鳥籠を無限に広げる力を秘めて
    生きる歓びは
    アンデス山麓の
    アルティプラーノ高原に住む人々のように
    天に一番近いところにいて
    アルタイルの鷲を眺めていたりする歓びだ
    何ものにも代えがたい歓びだ
    アルカイックスマイルが
    ぼくとあなたの口元にさざなみをひろげる

    エチオピアの王女にして
    ペルセウスの妻アンドロメダが
    銀河をなして
    夜のふたりに
    アンダンテカンタービレを奏ではじめる
    ペルセウス座の悪魔の星アルゴルが
    既に明るさを変えて遠ざかっている
    やがて時が来て日は昇り
    スコールの後
    虹の架かった海原に美しい世界

    何もないけれど美しい
    生きるよろこびだけが世界を変える
    生きている歓びだけが
    世界を
    アルストロメリアの花園に変える
    カンタブリア地方にある
    アルタミラ洞窟の
    ヤギュウの壁画を描いた
    古代の人々の心を
    狩猟と純潔の女神アルテミスに変え
    自由をことほぐのだ

    あなたの背中でぼくが竪琴を弾けば
    ベガと翼を広げた鷲の
    アルタイルが向き合い
    白鳥のデネブの歌声を聴く
    月の舟に乗って天の川を
    南へとくだれば赤い目玉の蠍が
    大きな爪を伸ばし
    毒針を持つ尻尾を跳ね上げて
    海の底から浮かび上がってくる
    火星の敵と謳われた
    アンタレスの心臓を輝かせて
    蠍がいのちの海を
    荒々しいものにする

    光の蛇がとぐろを巻いている
    天座の西では
    牛飼いが角笛を吹き鳴らし
    東では射手が弓を引き延ばして
    獲物に狙いを定めている
    夏の海を彩る星座のにぎやかさ
    それを見ながら
    ぼくはあなたが憩う美の園に遊び
    歓び戯れる孔雀となって歩いている
    この世に生まれた幸せは誰も壊せない
    と吠える大熊の遠い呼び声の光が点る

    光の波をかきわけてすすむ
    航海をするときがきた
    いま始めよう!
    愛は二人を結ぶ黄金の鍵だ
    その力は
    幾つもの波涛を超えゆく
    叡智の弾力を秘めている
    ふたりで潮風に希望の帆を揚げ
    勇気の汽笛を響かせよう
    意思のかいなに汗を光らせ
    未来の価値を
    その瞳に焼きつけよう

    この世に生まれた幸せは誰も壊せない
    壊させてもならないと
    繰り返されるアラベスクの潮騒に
    ぼくのなかの火の鳥が鳴き叫んでいる
    ぼくたちは粉々に砕けた鏡を
    ちりばめたような光の波を
    かきわけて船出していこう
    アリカンテからワインや
    果実を乗せて舟人たちが
    雄々しく旅立つように

    虹の架かった海原に
    空からカモメが舞い降りて
    そっとささやいた
    幸せはアリススプリングズの基地から
    エアーズロックの一枚岩を目指す旅だ
    愛の心の中に棲む青い鳥の
    アリストファネスが歌っている
    それはよろこびさえずる鳥のうた
    誰も妨げることのできない歌なのだ

    #315

    mariko sumikura
    キーマスター

    飛鳥さんの詩を読んでいると、紺青の空を突き抜けて星雲の彼方連れてもらえるような気がします。愛は二人を結ぶ黄金の鍵、いい言葉ですね。

    #361

    飛鳥聖羅
    参加者

    アーモンドフェスタ
           飛鳥聖羅

    神戸市は東灘区の深江浜で
    毎年ひらかれるアーモンドフェスタ
    バスを連ねて
    多くの人々が祭りにやってくる
    それぞれの思いをもって
    桜の開花に先駆けて咲く
    アーモンドの花は
    やはり桜に似た淡いピンクの花だ
    アーモンドの香ばしい香りが
    深江浜界隈に漂い始める春分の日を境に

    眼を転じて遠くイタリアはシチリア島の
    アグリジェントの神殿の谷
    ここに多くのアーモンドの木が植えられ
    二月に花が開花し
    神殿の谷を淡いピンクの色で染めていく
    古代ギリシア詩人ピンダロスは
    このアグリジェントを
    人の造りし最も美しき都市と賞賛した
    二千五百年前 地中海を渡ってきた
    ギリシア人たちが築いた都市だ

    地中海の十字路に位置したこの町は
    都市として発展し
    今に残る壮麗な神殿が複数建造された
    これがアグリジェントの起源だ
    アーモンドフェスタには
    世界各地から多くの人々が
    民族衣装と
    民族舞踊をもってこの町に集結する
    フォルクローレの祭典だ

    祭りの日にはその衣装を身にまとい
    国別に町中をパレードする
    その様子を見た日には
    地球のモザイクを
    見る思いがするにちがいない
    この谷間で原型に近い形で残る神殿は
    平和を司るコンコルディア神に捧げられた
    二千五百年後 その神殿の周りは
    アーモンドの花で彩られ
    人々の笑顔が溢れる

    モザイクで思い出すのは
    この町の近くにあるパレルモの
    モンレアーレのカテドラル
    王の山のモンレアーレは
    十二世紀にノルマン王によって建てられた
    ノルマン王宮と
    そのカテドラルの内部にあるのが
    見事なモザイク画だ
    荘厳なカテドラルに
    ノルマン王の
    魂の躍動を見るのは幸せなことだ

    ドイツの詩人ゲーテも絶賛した神殿の谷
    その谷で開かれるアーモンドフェスタ
    昔 セラスという国に
    可憐で美しい王女がいた
    その王女は
    ギリシアからやってきたデモフォと会い
    たちまち恋に落ちた
    デモフォは英雄だ
    二人の愛はむつまじく
    すべてが順風満帆に見えた

    穏やかに月日は流れたが
    英雄デモフォは故郷に戻る日が来る
    愛し合う二人は再会を約束して別れるが
    悲しいことにこれが
    永遠の別れとなってしまう
    間もなくして王女の耳に
    デモフォの訃報が届いたからだ
    死は避けられないものとはいえ
    これほど早くやってくるとは
    何という運命だろう
    愛のすべてを失った王女は
    朝に夕べに夜に悲痛と悲嘆に明け暮れ
    頬を流れる涙が止まらない
    やがて時が流れ ふしぎなことに
    美しい王女が大粒の涙を流した場所に
    一本の木が育ち始めたのだった
    その木にやがて淡いピンクの花が咲き
    たくさんの実がなった

    水滴に似た形の実だったが
    その形状は王女の大粒の涙から生まれた
    これがアーモンドの木の由来だ
    アグリジェントの神殿の谷には
    多数のアーモンドの木が生えており
    毎年二月頃には淡いピンクの花を咲かせる
    可憐で美しい王女の姿を彷彿とさせる
    アーモンドの花の下の饗宴に 釘づけだ

    古代地中海に発展した航海民族フェニキアは
    紀元前十五世紀
    ウガリト・ビブロスを中心に繁栄した
    紀元前十二世紀には
    中心はティルス・シドンに移り
    地中海貿易を独占したのだった
    その文化とともに
    フェニキア文字を西方に伝えていった

    現存のアルファベットの祖とされる
    フェニキア文字を使用した民族も
    その本国諸市は
    紀元前八世紀
    アッシリアによって滅ぼされた
    地中海に流れる不死鳥の歌は
    幾世紀を隔てても美しく響きわたり
    生死を超えて人々の魂を魅了する
    多くの詩劇を誕生させていった

    マケドニア王アレクサンドロスは
    フィリッポス二世の子で
    アリストテレスを師匠として学んだ
    やがて離反ギリシア諸市を制圧し
    紀元前三三一年に
    ガウガメラの戦いに勝って
    ペルシアを征服した
    さらに東方に遠征して
    インド北部にまで進攻していったのだった

    各地にアレキサンドリアと命名した
    都市を建設し東西文化の交流
    ヘレニズムを大きく発展させていった
    アレクサンドロス大王の原点は
    希望という二文字の種子を
    胸に植え付けていたことだった
    生命の大地にこそ愛の花が咲き
    枯れることのないダイヤの花となる

    古代インド
    マウリヤ朝第三代の王アショーカ王は
    紀元前三世紀
    最初のインド統一に成功した
    武力によらず法に則って天下を治めたい
    との布告を刻んだ石柱を各地に建立した
    高さ十メートルほどの砂岩製で
    柱頭に獅子や牛などの彫像がある

    アショーカ大王は
    愛をもって国を治め世は繁栄していった
    地中海に吹く風が
    西と東の大地に
    アーモンドの花の薫りを運び
    とこしえの安らぎを形作る
    あなたと二人で
    アーモンドの樹の下で
    見つめ合い抱き合えば
    変わらぬ愛の歓びと
    希望の血潮が胸に湧き
    冒険の旅路へと
    船が帆を揚げて乗り出していく

    #377

    飛鳥聖羅
    参加者

           
    毒と薬
              飛鳥聖羅

    世紀末に向かう時代の暁
    震動する大地の暗い薮に穴を穿って
    そこから覗く宇宙の星屑に
    失われた言葉のかけらが絡みつき
    深い記憶の淵から見知らぬ鳥が翔びたつ
    警鐘を鳴らすものが
    するどい光を放ち
    仏閣の青い甍の屋根を超えていく

    天上から射し込む青い光
    大地の草木に噴きこぼれた雫となって
    深閑とした時代の闇を照らし
    一条の希望のノクターンが
    畏怖と不安の糸車を廻す人々の
    うしろ姿に囁きかける
    ひとを愚弄する狂気の魔術師には
    騙されるな 確かな眼を開け

    腐肉を漁る獣が欠けた耳を逆立て
    悪知恵に濁った目をして
    あたりをうかがう仕種で近づいてくる
    一九九〇年の年の瀬
    闇にはまだ深い傷跡を
    舐め回すように嫋々と吹く
    冷酷の風がながれつづけている
    マルメロの匂いもなく

    夜明け前 剃刀の刃こぼれに傷ついた
    歪んだポスターが
    蒼ざめた僧坊の壁や庇に貼り付いている
    何を思ったか魔がさした男が
    ビイドロの仮面をつけて虎視眈々と
    罪なき人々に嫉妬の嘲りを放ち
    純粋な心をひし曲げに来る

    ひと粒の涙にも海を収める力がある
    天に浮かぶ月の輝きがある
    ひと雫の血にも永遠を孕む優しさがある
    天空を駆ける彗星の優しさだ
    ゆれる人間のこころの万華鏡にさえ
    ありとあらゆる難問を
    いとも簡単に解決する
    何通りもの美学模様が刻まれている

    おれの胸に深々と突き刺さった毒矢は
    抜かねばならない 即刻
    詩想の花びらを萎れさせないため
    脈動する滾る想いを
    宇宙に通じる海辺の扉を
    ひらく力に変えるのだ
    おれのやり方で
    魔術師の仮面を剥ぎ取り
    奴のふざけた振る舞いを揶揄してやる

    ***

    蘇った魂の鏡に
    青空を映しとる歓喜の時は来るか
    劇中劇の幕間に
    海から遡り自ら生まれた場所の上流で
    産卵する魚の赤いこころで
    わが身を問い直そうと
    未来を託す子どもたちに
    熱いまなざしをそそぎ
    だれにも破れない知力を
    振り絞って駆け巡る
    一人立つ者の息吹で

    銀河は果てしない夢と希望の坩堝
    おれの希望は宇宙の源へ遡及していく
    かぎりないエネルギーを生み出し
    天をゆく浮き舟となって自由に天翔ける
    シェーナーブルネンと名づけられた
    美しい泉の湧くところをめざし
    おれは我と他者を結び癒す
    薬の在処を知ることになるだろう
    生の妙薬の在処を

    吹雪を耐え忍んだ鳥たちが
    湖から飛びたち
    颯爽とすがすがしく
    青光りする螺鈿をしきつめた
    天空を飛翔する
    朝のこない夜はない
    なにげない光景に
    永遠につづく苦悩はないことを知る
    だれであれ
    生命を傷つけるものには
    永遠の苦悩が待つ それ以外は

    山裾の甍の群れを見下ろし
    遥かな天空の彼方の見知らぬ寺院に
    鳥たちは歓びのあいさつを
    おくっているのかもしれない
    嬉々として
    悠久の青い深淵のうえに
    煌めく人間の森のうえに
    紫に焼けた雲間から
    たぎる黄金を溶かした太陽と
    海原が人々を
    永劫の潮騒で包み込んでいく

5件の投稿を表示中 - 1件目から 5件目 (全5件中)

このトピックに返信するにはログインしてください。